M&A・事業承継をご検討の方へ

M&Aメリット・デメリット(売り手、買い手)

売り手のメリット

後継者問題の根本的解決

事業を継ぐ子供の数が減ったこと、国内市場のコンパクト化、若者の労働・自社に対する意識の変化などから、後継者にお困りの経営者が増えています。 一方で、取引先への申し訳なさ、従業員やその家族の生活やコストのことを考えたり、自社への愛着から廃業に踏み切れない経営者もいます。 こういったケースで、M&Aは解決策の一つになると言えます。自社を売却することで、後継者問題の根本的な解決が可能です。 ただもちろんそういった場合も、自社を託す先が優良企業であるに越したことはありません。

事業の急速な拡大

事業の急速な拡大自社を優良企業に託し、自社だけでは難しかった成長を実現することも可能です。 特に資本・インフラを確保している企業から買収されることで、設備強化や新たな市場への進出といった可能性が広がります。

廃業コストのカットと事業継続

廃業コストのために、廃業を躊躇っているケースもあります。店舗からの撤退費用、在庫処分費用、税務手続きの費用、従業員の補償に加え、借り入れの返済計画も考えねばなりません。 これらのコストや手間を大幅にカットするための選択肢として、M&Aによる自社売却が考えられます。事業を継続できるということは、自身の生活と従業員の雇用、技術、社会的信頼などが守られるということです。 慌てず、より良い条件でM&Aを成立させることが重要です。

売却によって創業者が利益を享受

創業者は、M&Aによって事業を売却することで利益(資金)を得られます。 既存事業以外の創業者の夢(海外移住、全くの他事業への個人参入など)の実現、引退後の生活資金を確保しながらも、自社の従業員の生活を守ることができます。

売り手のデメリット

買い手が現れない・想定していた評価がされない

買い手が現れない・想定していた評価がされないM&A市場において売り手側に求められるのは、基本的に「長期的な収益が期待できる」ことです。 当然、今後の見通しがつかない企業は敬遠され、企業価値も低く見積もられます。 高く評価されるためには市場動向の見極めが欠かせませんが、より重要かつ積極的な姿勢として、設備投資や繰り上げ返済なども必要になります。 企業がキャッシュフローを生み出せる状態であることに対して、価値が付随するのです。

文化・システムの統合に要する時間と人員

社風や理念の差はどの企業間にもありますが、その差が大きければ大きいほど、買収後の社内・社員の混乱も大きくなる可能性があります。 特にあらゆる業務がシステム化されている現代では、異なるシステム同士の統合・調整にも時間と人手がかかります。従業員一人一人の負担もまた、大きくなります。 これは買い手・売り手ともに注意すべき点です。

買い手による雇用条件・労働条件・労働環境の改悪

買収後、従業員の雇用条件、労働条件、労働環境が、悪い方へ変更される可能性があります。 派閥争い、新しい上司を受け入れる際の反発なども懸念されます。

既存の取引先からの不信感

買収後、以前からの取引先との契約内容の変更、担当者交代は、その取引先に負担を強いたり、不信感を抱かせることになりかねません。買い手によっては、売り手が長い時間をかけて築いてきた取引先との信頼関係に理解を示さないことがあります。最悪の場合には、反発した取引先が契約を打ち切ることも考えられます。

買い手のメリット

形ある資産と形なき資産の取り込みによる事業拡大

買収対象の企業が持つ不動産・設備といった「形ある資産」だけでなく、技術・手続き的知識・取引先とその信頼・顧客基盤・流通網といった「形なき資産」を取り込めます。どちらの資産も、買収後の事業拡大の重要な要素となります。 人口減で市場のコンパクト化が進み、限られた顧客の奪い合いはさらに激しくなり、少数の企業が市場を支配していく傾向は今後も変わらないでしょう。 事業規模の大きさは、それだけで十分な優位性となり得ます。だからこそ、各企業の経営課題の中でも事業拡大の重要性が増してきているのです。 そしてM&Aによって事業拡大を成功させるためにも、売り手企業の「形ある資産」の価値だけでなく、「形なき資産」の価値を前もって見極める力が必要です。

収益の安定を見込んだ事業の多角化

事業環境が不安定となり、収益の変動が激しくなっている企業は少なくありません。安定的な収益源を確保するため、選択肢の一つとして考えられるのが「事業の多角化」です。 他業種・他事業の企業の買収により、新たな分野への参入、バリュー・チェーンの拡大が可能になります。

低リスクでの新規事業参入

「形ある資産と形なき資産の取り込みによる事業拡大」「収益の安定を見込んだ事業の多角化」の話を統合して考えられるM&Aのメリットに、新規事業への参入があります。 自社による純粋な新規参入には、リスクがつきものです。しかし、既に特定分野での実績・信頼を得ている企業をM&Aにより買収して行う新規参入は、さまざまなリスクを排除、あるいは軽減します。

自社既存事業の弱点の克服と強化

自社が持つ技術の中でも弱点と言える分野、あるいはさらに強みとしたい分野にフィットする企業をM&Aにより買収することで、マイナスからプラスへ、プラスからプラス2へと強化することができます。

自力での成長に要するはずの時間を「買える」

新たに事業を立ち上げる際には多大なコストと時間がかかります。マーケティング、技術開発、設備導入、人員の確保とその教育。 M&Aによる買収であれば、これらを大幅に削減できます。

買い手のデメリット

文化・システムの統合に要する時間と人員

社風や理念の差はどの企業間にもありますが、その差が大きければ大きいほど、売り手企業との融合に時間と手間がかかります。様々なシステムの統合・調整も同様です。

派閥争い

M&Aは異なる企業間のことですから、最初から全てうまくいくとは限りません。ただ、売り手との間で生じた溝が時間をかけても埋まらない場合、派閥の発生とその争いが起こる可能性があります。

買収先企業の人材流出

労働条件の変更、派閥争いの勃発などで売り手側従業員からの買い手企業への不信感が生まれ、人材が流出してしまう可能性があります。特に、買収する企業で中心となって働いている人物、今後の活躍を見込める人物とはタイミングを見計らいながらも早期にコンタクトを取り、買収後の待遇やビジョンについてきちんと理解してもらうことが重要です。

簿外債務や偶発債務

中には、買収成立後に簿外債務(賃借対照表上に記載されていない債務)が発覚するケースも見られます。 偶発債務(訴訟問題などにより近い将来発生する可能性のある債務)などと合わせて、売り手企業の財務状況を事前に正確に把握しておくことは、M&Aの基本と言えます。

「のれん」の減損のリスク

会計上の「のれん」の減損処理も、M&Aによる買収の影響を受けます。ときに企業の存続をも左右します。 超過収益力、つまり買収先企業が(将来にわたっての)利益をあげる力を、買い手は正しく見極める必要があります。

事業承継のメリット・デメリット

M&Aを活かした事業承継のメリット

後継者候補の拡大

M&Aでの事業・企業の売却を選択肢の一つとして考えると、後継者を必ずしも社内・家族から選ぶ必要がなくなります。全国のあらゆる企業が、事業承継の候補になります。 ただ、相手企業を見つけ、見極めることは自力では困難です。一般的には、M&Aを仲介する企業に探してもらうこととなり、その場合には幅広いネットワークから自社にフィットした提案がなされることが期待できます。そういった仲介会社はM&A支援のプロですので、成約まで迅速かつ包括的なサポートが受けられます。

廃業から売却に切り替えることで生まれる利益

家族、あるいは従業員に後継者候補がいない場合、廃業も選択肢の一つとなります。ただ、廃業にもそれなりのコストと手間がかかります。 そういったときにM&Aを活用して自社を売却すれば、事業承継が可能になります。また、廃業コストは不要となり、従業員の雇用も守られます。創業者は売却による利益も享受します。

事業の継続・成長

廃業には、コスト、手間、従業員の失職、技術の断絶、社会的信用の喪失といった様々なデメリットが伴います。 M&Aにより自社を売却すれば、事業承継はもちろん、失われるはずだったものを維持することが可能になります。そして買い手が優良企業であれば、それだけ事業の成長も期待できます。

M&Aで事業承継を行うことのデメリット

時間・コストが必要

M&Aには、時間とコストがかかります。 半年から、長ければ1年半以上かかることもあります。また、M&A仲介会社への報酬も必要になります。 ただし、良い条件でM&Aが成立すれば、事業承継を成功させながら、さらに成立までにかかった時間・コストの回収は元より、それ以上の利益を得られる可能性が高くなります。 優秀な仲介者を選び、パートナーにすることが重要です。

想定との相違

売り手と買い手の社風・理念の溝により、M&A後、思わぬ混乱が生じることがあります。派閥争いなどがよく見られる例です。また、業務のシステムの統合のため、時間と人員も必要になります。 これら様々な要素が絡み合い、従業員の流出に至ることもあります。 事業承継は一旦成功したものの、企業価値が下がってしまっては、M&Aの成功とは言えません。 売り手・買い手にかかわらず、M&Aの相手企業の選定は慎重に進める必要があります。

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